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【2018/6月~】お知らせ

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ゴールデン・グローブ(2017)メリルの受賞スピーチについて

2017/01/11 comment: 2

└ 名誉賞など


※英文引用、和訳引用
物議を醸したゴールデン・グローブ(2017)の受賞スピーチをご紹介。至るところに英文、和訳ともに掲載されていましたので引用させていただいて、私なりのスピーチの補足を書いています。


新年あけましておめでとうございます(^^)

ゴールデン・グローブのセシル・B・デミル賞は長年にわたって映画界に貢献した人に贈られる賞で(wikiより)(功労賞のようなものです)、2017年はメリル・ストリープに贈られました。

――賞の受賞などの評価は演技している自分への評価であって本来の自分であるときの評価ではない。役者としてできること、本来の自分としてできること、そしてあなたができること――
私はバーナード・カレッジの卒業スピーチ(2010年)を自分で和訳してみて、この卒業スピーチの主題をこのように感じとりました。


2017年1発目の記事は…闘うメリル・ストリープです(^^)


あちこちにゴールデングローブでのスピーチの全英文が掲載されていて、その破壊力が半端なかったことを物語っています。和訳は自分で頑張ってやっていたのですが、全文和訳が毎日新聞から配信されていたので今回はそちらを引用します m(_ _)m

追記:一部だけ自分でがんばって和訳したのでご興味のある方は↓
受賞スピーチ(一部和訳)

このスピーチでメリルが言っていることについて私なりのメリル解釈による補足を

私はトランプ氏はちょっと…と思いますが、ではヒラリーさんはどうなのか、アメリカの政治的な話は正直なところよくわかっていません。

メリルが言及していることは、(彼の名は出さずに言っていますが)選挙戦での演説で障害をもった記者をからかい真似て見せ聴衆がそれを見て笑ったことについてです。演説場所はヴィオラ・デイビスが生まれたサウスカロライナ州でのことです。
ちなみに彼はその記者の障害を全く知らなかったと言っていたようですが、その記者は長年彼にインタビューをしていた良く知る記者だそうです。


バーナード・カレッジの卒業スピーチで、演技(imitate, behaving, pretending, acting)は人間にとって生きる上で大切な手段であることを語っていました。『ディア・ハンター』のリンダのように父親の暴力にさらされていれば、その場をしのぐために演技したり、他の人にそのことを見せないように明るく外で振る舞うなど演技することもあります。高校生の頃のメリルのように男子の気をひきたくて演技することもあります。赤ちゃんに噛み方(食べ方)を教えるなら、自分で口を大きく動かして噛んでいるフリをして教えます。赤ちゃんはそれを真似て覚えます。

役者の「演技」によって観客はその人物に共感・感情移入して、その役柄を理解したり、自分が慰められたり、鬼編集長ミランダのような人物によって、自分のまわりにいる上司(怖い人物)の苦労を理解することにつながる。そういったことが役者の演技による賜物なのです。

「人間が神から与えられた最も尊い能力は感情移入することだ」とインタビューで話していることもよくあります。「会ったことも見たこともない存在しないかもしれないE.T。人間が想像して形を作り出したE.Tにでさえ人は感情移入し、エリオットとE.Tの別れに涙する」。感情移入や共感する心によって、自分以外の、自分が属するグループ以外のその他の相手の考えや生活などを理解し受け入れることができる。時にはその境遇から助け出してあげたいと心が動く。その大切さを訴え、彼の言動を批判しているのです。なので俳優として、あの場で発言したことは私は場違いだとは思いません。

ちなみにメリルは「まだまだ世界のことに興味がある」――つまり自分の知らない世界、自分が直接経験したことのない世界に興味があって、メリルは自分自身には興味がないということもよく言っています。なので自伝を書くことや自分の演技を分析することも興味がないそうです。




(salvadorenosenelmundさんより)




The New York Times より引用

――Meryl Streep

Please sit down. Thank you. I love you all. You’ll have to forgive me. I’ve lost my voice in screaming and lamentation this weekend. And I have lost my mind sometime earlier this year, so I have to read.

Thank you, Hollywood Foreign Press. Just to pick up on what Hugh Laurie said: You and all of us in this room really belong to the most vilified segments in American society right now. Think about it: Hollywood, foreigners and the press.

But who are we, and what is Hollywood anyway? It’s just a bunch of people from other places. I was born and raised and educated in the public schools of New Jersey. Viola was born in a sharecropper’s cabin in South Carolina, came up in Central Falls, Rhode Island; Sarah Paulson was born in Florida, raised by a single mom in Brooklyn. Sarah Jessica Parker was one of seven or eight kids in Ohio. Amy Adams was born in Vicenza, Italy. And Natalie Portman was born in Jerusalem. Where are their birth certificates? And the beautiful Ruth Negga was born in Addis Ababa, Ethiopia, raised in London — no, in Ireland I do believe, and she’s here nominated for playing a girl in small-town Virginia.

Ryan Gosling, like all of the nicest people, is Canadian, and Dev Patel was born in Kenya, raised in London, and is here playing an Indian raised in Tasmania. So Hollywood is crawling with outsiders and foreigners. And if we kick them all out you’ll have nothing to watch but football and mixed martial arts, which are not the arts.

They gave me three seconds to say this, so: An actor’s only job is to enter the lives of people who are different from us, and let you feel what that feels like. And there were many, many, many powerful performances this year that did exactly that. Breathtaking, compassionate work.

But there was one performance this year that stunned me. It sank its hooks in my heart. Not because it was good; there was nothing good about it. But it was effective and it did its job. It made its intended audience laugh, and show their teeth. It was that moment when the person asking to sit in the most respected seat in our country imitated a disabled reporter. Someone he outranked in privilege, power and the capacity to fight back. It kind of broke my heart when I saw it, and I still can’t get it out of my head, because it wasn’t in a movie. It was real life. And this instinct to humiliate, when it’s modeled by someone in the public platform, by someone powerful, it filters down into everybody’s life, because it kinda gives permission for other people to do the same thing. Disrespect invites disrespect, violence incites violence. And when the powerful use their position to bully others we all lose. O.K., go on with it.

O.K., this brings me to the press. We need the principled press to hold power to account, to call him on the carpet for every outrage. That’s why our founders enshrined the press and its freedoms in the Constitution. So I only ask the famously well-heeled Hollywood Foreign Press and all of us in our community to join me in supporting the Committee to Protect Journalists, because we’re gonna need them going forward, and they’ll need us to safeguard the truth.

One more thing: Once, when I was standing around on the set one day, whining about something — you know we were gonna work through supper or the long hours or whatever, Tommy Lee Jones said to me, “Isn’t it such a privilege, Meryl, just to be an actor?” Yeah, it is, and we have to remind each other of the privilege and the responsibility of the act of empathy. We should all be proud of the work Hollywood honors here tonight.

As my friend, the dear departed Princess Leia, said to me once, take your broken heart, make it into art.



和訳:毎日新聞より引用

 ありがとう。皆さん、愛しています。許してください。週末に叫んだり大泣きしたりしてしまって声が出ないのです。それに年初から気が動転していて。なので書いたものを読みます。

 ハリウッド外国人映画記者協会の皆さん、ありがとう。ヒュー・ローリーが先ほど言った話に続けると、ここにいる皆さん、私たちはみんな、米国社会の中でも最もけなされているグループに属しているのです。考えてみてください。ハリウッド、外国人、そして記者です。

 ですが、私たちは何者でしょうか。ハリウッドとはそもそも何でしょうか。それは、いろいろな場所からやってきた人々の集まりなんです。

 私はニュージャージー州で生まれ育ち、公立学校で学びました。ビオラ・デイビスはサウスカロライナ州の小作農民の家に生まれ、ロードアイランド州のセントラルフォールズで成長しました。サラ・ポールソンはフロリダ州に生まれ、(ニューヨークの)ブルックリンでシングルマザーに育てられました。サラ・ジェシカ・パーカーはオハイオ州で7、8人のきょうだいの一人でした。

 エイミー・アダムスはイタリア・ベネト州のビチェンツァの生まれです。そして、ナタリー・ポートマンはエルサレム生まれです。彼らの出生証明書はどこにあるのでしょうか。

 美しいルース・ネッガはエチオピアのアディスアベバで生まれ、そう、アイルランドで育ちました。バージニア州の小さな町の女の子を演じて受賞候補になっています。

 ライアン・ゴズリングはカナダ人です。いい人たちばかりのね。デーブ・パテルはケニア生まれのロンドン育ちです。彼は今回、タスマニアで育ったインド人を演じました。

 つまりハリウッドはアウトサイダーや外国人だらけなんです。もし、その人たちを追い出してしまったら、見るものなんてアメリカンフットボールと総合格闘技ぐらいしかなくなります。けれども、それらは芸術ではありません。

 時間がないので続けます。役者の唯一の仕事とは、私たちと異なる人々の人生に入っていき、それがどんなものなのかを人々に感じてもらうことです。この1年間、それをやり遂げた力強い演技がたくさん、たくさん、本当にたくさんありました。まさに息をのむような、思いやりに満ちた仕事でした。

 けれども、ある演技には、あぜんとさせられました。それは私の心に釣り針のように引っかかりました。演技が良かったからではありません。ただ、何一つ良くはないのに、効果的でした。そして、狙った観客を笑わせ、歯をむき出しにさせました。

 それは、この国で最も尊敬される席に座りたがっている人が、障害を持つ記者の物まねをしたときのことです。特権、権力、反撃力において、はるかに自分が勝っている相手に対しての行為です。

 その光景に私の胸は打ち砕かれ、いまだに頭から離れません。なぜなら、映画の世界ではなく現実で起きてしまったことだからです。

 権力者が公の場で他者をばかにしようとする衝動に身をゆだねてしまえば、あらゆる人たちの生活に波及します。人々に同じことをしてもいいと、許可を与えることになるからです。

 侮蔑は侮蔑を招きます。暴力は暴力をあおります。権力者が立場を利用して他人をいじめれば、私たちはみな負けるのです。いいわ、やりたければどうぞ続けてみなさい。

 これは報道の話につながります。私たちには、報道する力を持ち、どんな横暴に対しても厳しく批判する信念を持った記者が必要です。だからこそ、建国者たちは報道の自由を憲法で定めたのです。  ※アメリカ合衆国憲法修正第1条

 お金持ちで有名なハリウッド外国人映画記者協会と私たち映画界の皆さんにこれだけはお願いします。私と一緒にジャーナリスト保護委員会を支援してください。ジャーナリストが前に進むことが私たちには必要だし、彼らも真実を守るために私たちの手助けを必要としているのです。

 もう一つ。セットの脇に立って愚痴をこぼしていたことがありました。わかるでしょ、夕食抜きで働いたり、長時間働いたりすることがあるんです。そのとき、(俳優の)トミー・リー・ジョーンズが言ったの。「メリル、役者でいられることだけですごい特権じゃない?」

 ええ、その通りです。私たちには共感を呼ぶ特権と責任があることを、改めて自覚し合わなければなりません。私たちはみな、ハリウッドが今夜ここで栄誉を与える仕事に誇りを持つべきです。

 私の友人で、親愛なる亡きレイア姫はこう言っていました。「打ち砕かれたハートを、アート(芸術)に作り替えましょう」

 ありがとう。【訳・隅俊之、岩佐淳士】





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コメント

No title

ゆるりさん、こんにちは♪
こちらでは初めてなので・・・

あけましておめでとうございます(*´▽`*)
今年もよろしくお願いいたします。

さて、
>1月20日あたり?からでもブログ再開できたらいいな・・・
とのことでしたので、お待ちしてたのですが、GG賞のメリルさんのニュースが飛び交っているので、もしかしたら・・・とお邪魔しました( ̄∇ ̄*)ゞ
さすがゆるりさん、「私なりのメリル解釈による補足」興味深く読ませていただきました(^^)/

スピーチ内にトミーの名前が挙がっていたことから、トミー関連ニュースにもヒットしていたので一昨日から知っていましたが、トミーの言葉をイマイチ上手く訳せず(^_^;)
昨日、日本のニュースにスピーチ訳全文が掲載されたので、ああ~と(^^ゞ

この会話が交わされたのは「31年目の夫婦げんか」の収録の時なんでしょうね。
メリルさん、どのシーンの撮影で愚痴をこぼしていたのかな・・・
なんてつい他のことを考えてしまいました(笑)

ところで、ゆるりさんなら“Isn’t it such a privilege, Meryl, just to be an actor?”はなんと訳されますか?よろしかったら教えてください(^^ゞ

Re: No title

Eveさんおはようございます。体調はいかがですか?

『The Homesman』だとトミーさんは監督もして忙しかったでしょうから
わたしも『31年目~』の撮影でのことかな~と考えていました(笑)
海岸での結婚式シーンかな?お天気待ちがありそうですよね。違うかな(笑)

実はわたしもEveさんならトミーさんの言葉を上手く訳して書いてあるかな?と
Eveさんのサイトをのぞきに行ってたんです(笑)ホントここは難しいですよね~~

少しお時間いただいて、そこの部分の和訳をUPしようと思っています
難しくてあきらめたのですが、Eveさんからのコメントでヤル気をいただいて(笑)
ありがとうございます。

今年もよろしくお願いします(^^)
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プロフィール

Author:ゆるり
見る映画は映画全般ではなく、ほとんどメリル・ストリープ映画だけ。未見作品もまだまだありますが、映画の制作裏話やメリルのスピーチやトーク番組を紹介しています。

(注)最新情報をお届けすることはなく、ひたすら過去のことを書いています。英文や和訳は間違いだらけですので参考程度にお願いします。
(2015.9.14 ~)

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